<目次>

69  西川田の大クス 市久保(旧川田市)

 吉野川堤坊に接して楠木神社があり、クスの巨樹がある。目の高さで周囲12メートル、幹は地面より 2.5メートルのところで3つに分かれ、
その枝は堤防の上まで覆いかぶさり、背丈は約20手元である。木の根元に小さな庚申塔があり、寛文4年(1664)12月3日と日付がある。附近のたたずまいからしても、クスの木は300年前にこの地にあったものと思われる。
 また古記録にも、井田の大クス・観音堂のマツとともに名木に数えられている。かつて、この木について所有権の争いがあり、大枝の一部が切られているが、現在も堂々たる偉容を喋っている。
 川田名跡志によれば、楠木神社というのは楠木神ともいい、祭神は素?鳴命であり、この楠木神はかわった神様で、この神様にお祈りをする人は白羽の矢を供えて祈ったと記されている。
 神祇詠歌に
    諸人の祈る願いに梓弓
         白羽の矢をぞ手向けにはする
と、そのさまを歌っている。
平成9年9月17日付けをもって「天然記念物」として山川町教育委員会より指定された。

西川田の大クス