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40  境谷古墳出土品

 これらの出土品は,昭和33年山川町史編集の時,宮地「境谷古墳」で見つけたものである。この古墳は,本町古墳の中でも珍しく完全に残っているものの一つで,内部はすでに荒されていたが残土を整理して得たもので,その内容は次のとおり。
1.水晶切子玉1個 
2.出雲石2個 
3.耳かざり環2個
4.鉄器破片 数個 
5.土師器
6.須恵器破片数十個

 水晶石や出雲石は首飾りであったと思うが,いずれも中に穴があけられているが,片側は太く,片側は細くなっているし,真中に穴が通っていなく,片方へずれているなど,細工がいかにも素朴で,今から1300年も前の物だとの感じがひしひしとせまる思いがする。
 また、耳かざりは大小2つあり、緑青が現われている。この上に銀か金の鍍金があったのではないか。鉄片は鏃(やじり)か。刀の破片か武具の一部であろう。土師器は須恵器よりも早い時代に作られた土器で、柔かく、須恵器は高温で焼上げた、固い土器で、この技術は大陸より伝わったものと言われる。
 山川町の古墳は,主に東部丘陵地に多く,その数、文献に載っているだけでも百余個を数えることが
できるが、現存しているものは、わずか十数個にすぎない。また,出土品に至ってはまことに少なく,出土の記録や,言い伝えはあっても現存しているのは境谷古墳の出土品だけが主であることは,淋しい。
 本町が忌部族発祥の地といわれるからには、それを証する古墳の所在を明らかにし、保存し、出土品を大切にする必要がある。